比熱とは
物質1kgを1℃上昇させるために要する熱量を比熱(speific heat)と言います。比熱は物質によってそれぞれ異なり、また同一物質でもその状態によって値が変わり、比熱が大きいほど温度を上げるのに多くの熱量が必要となります。つまり、比熱は、「物質の温度変化のしにくさの度合い」を表しています。
各物質の比熱の比較
- 水 4.187kJ/(kg・K) (at15℃)
- 氷 2.10kJ/(kg・K) (at-1℃)
- 水蒸気 2.05kJ/(kg・K) (at100℃)
- 乾き空気 1.006kJ/(kg・K) (at20℃)
この比熱は、熱量計算に必要なものです。次式に熱量計算を示します。
φ=m・c(t2-t1)
ただし、φ:熱量(kJ)、m:質量(kg)、c:比熱(kJ/(kg・K))、t1:冷却後の温度(℃、K)、t2:冷却前の温度(℃、K)
ここで、水と乾き空気を比較すると、水は乾き空気の4倍以上も比熱が大きいことがわかります。水1kgを1℃下げるために水1kg(L)必要とした場合、乾き空気では3486L必要になり、乾き空気と比べて水は冷却の効率が良いと言えます。
上記の乾き空気質量=水の質量1kg×水の比熱4.187(kJ/(kg・K))÷乾き空気の比熱1.006(kJ/(kg・K))
=4.162kg となります。
そのときの体積は、乾き空気の密度1.2kg/㎥で割ると3468㎥(=3468L)となります。
比熱と熱容量の違い
比熱とよく似た言葉で「熱容量」というものがありますが、両者の定義には以下の通りです。
- 比熱 = ある物質1kgの温度を1℃上げるのに必要なエネルギーの量 (kJ/(kg・K))
- 熱容量 = ある物体の温度を1℃上げるのに必要なエネルギーの量 (kJ/K)
どちらも「温度を1℃上げるのに必要なエネルギーの量」という部分は同じですので、どちらも「ある対象物」の温度変化のしにくさ(しやすさ)を表す指標であるということは共通しています。ここで、それぞれの対象とするものを見比べてみます。
- 比熱の対象物は「一つの点 = 物質1kg」
- 熱容量の対象物は「点の集まり全体 = 物体」
仮に対象物が「鍋」とした場合、その原材料は「鉄」だけではなく、取っ手には「樹脂」、蓋には「ガラス」など、いろいろなものが組み合わさって一つの「製品(物体)」として形を成しています。物質単体を表している比熱に対して、熱容量は物質全体を表すときにしようします。
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