冷媒とは
冷媒は、冷凍サイクル中を循環して熱を伝える役目をする物質です。冷凍サイクルの蒸発器において、低い温度と圧力の冷媒が蒸発することにより周囲から熱を吸収します。また、圧縮機において、高い温度と圧力の冷媒にします。この高温高圧冷媒を凝縮器において、冷媒が凝縮することで周囲に熱を放出します。そして、減圧機構にて再び減圧され、熱を吸収できる状態に戻します。このように冷媒が相変化を伴って熱を授受する冷媒を一次冷媒と呼びます。
また、熱を伝達する役目をする物質として、空気、水、ブラインなどがありますが、これらは相変化をしません。このように温度変化のみで熱を授受する熱媒体を二次冷媒と呼びます。
冷媒の性質
冷媒を選択するとき、次のような性質について考慮する必要があります。
- 安全性:可燃性、毒性、安定性
- 物理的性質:沸点、凍結点、運転圧力、比体積、臨界圧力、臨界温度、潜熱、他との混和性、
- 環境への影響:オゾン層破壊係数(ODP)、地球温暖化係数(GWP)
- 経済性:価格、入手のしやすさ
冷媒の安全性分類
冷媒の安全区分には燃焼性の強さと毒性の強さでクラス分けされています。毒性に関しては、強い毒性を示すアンモニアや亜硫酸ガスはクラスB、R32やR1234yfなどのフロン冷媒のほとんどは毒性が小さいクラスAに分類されます。
毒性のありなしの判断は、1日8時間、週に40時間労働をした場合に継続的に暴露されても殆ど全ての労働者に健康被害が残らないとされる冷媒の許容濃度が400ppm以上をクラスAとしています。400ppm未満は毒性を有すると判断されクラスBに分類されます。
燃焼性に関しては、強燃焼性がクラス3、弱燃焼性がクラス2、不燃性がクラス1に分類されていました。2010年には、2のサブクラスとして2Lが新設され、クラス2の冷媒の内、燃焼性が極めて低い燃焼速度10m/s以下の冷媒となります。
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